コンクリートによる3Dプリンティングは増材制造の分野では比較的特殊な分野の一つであるが、従来の手法に比べて材料使用の最適化やコスト削減などのメリットがある。しかし、3Dプリンティング混合物は一貫した流働性と低粘度を示す必要があるため、「流挂け」現象の発生を避けることができ、形状安定性と寸法精度を失う。オランダのデルフト工科大学の研究者グループは、3Dプリンティングの精度を高めるために、新しい粘土ベースのセメントを配合した。
レベルの低い2つの焼き付け粘土
この研究では、2つの異なるグレードの焼き付け粘土、すなわち高グレード(95%の偏カオリナイト含有量)と低グレード(50%の偏カオリナイト含有量)を試験する。2種類のレベルの粘土を異なる割合で混ぜ、大学の実験室に設置したオーダーメイドの押出装置を使って印刷する。
カスタマイズされた3Dプリント装置は
研究チームは、高品位含有量を0wt%から50wt%に増やすことで流動稠度を最大化し、混合物の寸法安定性を高めることを発見した。研究者は、鍛造性の向上を、高い焼き付け粘土含有量による平均粒子間距離の減少のためとしている。確かにこの現象は低コストを伴うが、強度を犠牲にせずにレシピを微調整し、印刷性を最大限に高めることができる。
3Dプリントの印刷性を大幅に向上させる新技術
3Dコンクリート構造は学界だけでなく、さまざまな分野で活躍している。米テキサス州に本社を置く建設会社ICONは最近、米防衛イノベーション部門と共同で、ペンドル海兵隊基地に3Dプリンターのコンクリート構造を構築した。最初に訓練された8人の海兵隊の乗組員はICONのコンクリート3Dプリンターを使い、36時間以内に車両全体の革構造を印刷することに成功した。